パリ協定以降、世界の繊維業界は脱炭素と化学品削減への対応を急務としている。特に難燃加工分野では、残留性と毒性が指摘されたHBCD（ヘキサブロモシクロドデカン）の代替素材が求められていた。これに応えるのが、寧波イノファームケム株式会社が開発したHBCD代替難燃剤「Mflam FL」である。

Mflam FLはポリエステル繊維向けに特化した、ダイバス難燃加工剤だ。欧州REACH規則に完全準拠しており、人と環境への負荷を最小限に抑えながら、HBCD同等の難燃性を実現できる。特筆すべきは高濃度での染色浴分散安定性であり、現行設備に手を加えることなく、色堅ろう度や柔らかな風合いを保持したまま均一な難燃加工が可能である。

同社によると、Mflam FLは家庭用インテリアファブリックから公共交通機関施設の内装材まで、幅広い用途で導入が進んでいるとのこと。顧客はREACH要件をクリアしながら、従来品と比較してCO₂排出量を約30％削減できるという。

実装例を挙げると、高級ホテルチェーンではカーテン生地にMflam FLを使用したデザインを採用。客室の快適さはそのままに、難燃基準の厳格化にも柔軟に対応している。また公共交通では、座席シート向けに導入されており、高い水洗耐久性により長期にわたって性能を維持している。

今後、寧波イノファームケム株式会社は2027年までに製造プラントの再生エネ比率を75％に拡大し、Mflam FLも含む全製品のライフサイクルアセスメント（LCA）情報を公開する予定だ。同社は「持続可能な安全を両立する難燃ソリューション」を合言葉に、世界各地のブランドやミルズとの協業を加速させている。