衛生害虫管理に欠かせない殺虫剤。その主力活性成分であるプラレスリンについて、最新の科学研究と厚労省・環境省の規制評価を踏まえ、環境・人体への影響を整理する。

毒性と人体安全性
世界保健機関(WHO)の分では、プラレスリンは「哺乳類に対する急性毒性が低い」とされ、発がん性も確認されていない。ラットを用いた代謝研究中、投与前後でプラレスリンは速やかに低毒性代謝物へと分解されることが示されている。これを根拠に、屋内・屋外の衛生害虫防除薬にも登録が認められている。

環境への影響
一方、水生生物やトマリバチなど益虫に対しては高い急性毒性を示すことがわかっている。薬剤が地表水に流入しないよう、散布時の逸散防止と容器洗浄水の適正処分が義務付けられている。また、土壌中では光分解・微生物分解が進み、半減期は数日~1週間程度に留まるが、水路沿いでは残留リスクが高まるため注意が必要だ。

作用機序
プラレスリンは昆虫の電位依存性ナトリウムチャネルを標的に作用する。チャネルを開いたままにして脱分極を持続させることで、異常興奮→麻痺→死へと至る。人間など哺乳類では代謝速度が速いため同等の神経症状が出にくいが、過剰暴露時にはめまい、吐き気、皮膚刺激を呈する例が報告されている。

適正使用の指針
製品ラベルの用法・用量を厳守し、以下の点に留意すれば家庭でも安全に使用できる。

  • 散布後は十分換気し、薬剤が乾くまでペットや幼児を入室させない。
  • 直接肌に付着しないよう手袋を着用し、万一付着した場合は石けん水洗浄。
  • 薬剤や空容器は市町村の「有害ごみ」区分に従い処理。

防除業者・自治体担当者にとっては、最新のガイドラインに沿った業務マニュアルの整備がリスク低減につながる。

まとめ
プラレスリンは規格を守って使えば、家庭から農業・公衆衛生まで幅広く活用できる有用な成分だ。今後も継続的なリスク評価を受け、利用者が最新情報に基づいて判断できる環境を整えることが望まれる。