地表付近では強い酸化作用をもち、人の健康や生態系に脅威を与えるオゾン（O₃）。この有害ガスを酸素（O₂）に速やかに変換する高効率触媒の実用化は、空気清浄技術の分岐点となる。そこに注力するのが寧波イノファームケム株式会社だ。素材化学と触媒メカニズムを起点に、厳しい環境でも持続するオゾン分解性能の革新に挑戦している。

開発チームが照準を合わせるのは、金属有機構造体（MOF）と特殊設計の酸化マンガンを中心とした先進材料群。MOFは、規則正しい結晶格子に多数の活性点を精密に配置。金属ノードや有機リンカーの組み合わせを変えるだけで電子状態を自在にチューニングし、オゾンとの反応効率を飛躍的に高める。一方の酸化マンガンでは、マンガン空孔（VMn）などの欠陥導入によりルイス酸・塩基対を形成。従来材では律速となる電子移動が円滑になり、段階的なオゾン分解が加速する。

しかし、実際の装置では水分との闘いが避けられない。水分子が活性点を被覆し反応を阻害する課題に対し、研究は「高湿度条件下で働くオゾン分解触媒」へと焦点を絞る。疎水性基導入、疎水孔道の設計といったアプローチにより、装置内部に結露が生じても性能劣化を抑える仕組みを実現した。

さらなる高効率化に向け、同社はin-situ分光測定と計算科学を融合。触媒表面で展開されるオゾン反応の挙動を原子レベルで可視化し、律速段階と中間体を特定。得られた知見を設計にフィードバックすることで、分解速度の向上だけでなく、オゾン自身による触媒劣化にも耐える長寿命材料を目指す。

多機能化へと視野を広げると、MOFはオゾン分解だけでなく、揮発性有機化合物（VOC）の吸収・分解にも優れる「VOC除去MOF」として活用できる。1つのユニットで複数の大気汚染物質を同時に処理する統合空気清浄システムの構築が現実味を帯びている。

化学の力を環境課題解決に注ぎ込む寧波イノファームケム株式会社。原子的スケールから社会を守るスケールへと橋渡しされた技術は、工場排気、車載フイルター、建築換気システムなど、多様な空気清浄ニーズに対し、次世代ソリューションをもたらす。