ポリアクリルアミド（PAM）は、水処理・鉱業・製紙・原油回収など幅広い分野で活躍する汎用性の高い高分子です。ただし、その性能は「用途に合わせた正確な選択」にかかっており、チャージ（イオン性）、分子量、加水分解度の3つが鍵となります。以下では現場目線で選ぶ際の勘所を整理します。

1. イオン性でまず分類
大きくアニオン性（APAM）、カチオン性（CPAM）、非イオン性（NPAM）に分けられます。APAMはマイナス帯電で、鉱山排水や工業廃水中のプラス粒子を効率よく凝集・沈降させるため、水処理分野のデファクトスタンダードです。

一方CPAMはプラス帯電のため、下水汚泥やバイオスラッジに含まれるマイナス有機物との結合力が高く、脱水率向上に貢献します。対してNPAMは無帯電で、極端なpH・高塩濃度環境でも安定し、製紙の乾強度向上剤などイオン相互作用が不要な用途に最適です。

2. 分子量は“かさ上げ”の要
分子量が高くなるほど長い鎖構造により粒子間のブリッジ能力が増し、大きく丈夫なフロックを形成します。水処理では沈降速度が向上し、脱水工程では含水率低下が期待できます。ただし高粘度のため専用の攪拌・溶解設備が必要です。

3. 加水分解度（特にAPAM）で微調整
加水分解度が高いほどカルボキシル基密度が増し、一部の水質では凝集効率が高まります。一方で溶解安定性が低下しやすいため、現場条件に応じてバランスを取る必要があります。

4. 実践：ジャーテストで最終決め
上記をもとに適切なイオン種・分子量・加水分解度を絞った後、処理水のpH・水温・濁度・共存薬剤を考慮しながらジャーテストを実施、最適添加量を決定します。信頼できる供給元から工業用グレードを調達し、複雑な工程課題と環境制約を効率的にクリアしましょう。