ケガや手術、さまざまな病態に伴い生じる「炎症・浮腫」は疼痛を招き、日常生活に大きな影響を及ぼします。こうした症状に対して注目を集めているのが、タンパク質分解酵素「α-キモトリプシン」です。本剤は炎症の発生機序に直接働きかけ、腫脹と痛みを素早く軽減する点が特長です。

α-キモトリプシンの抗炎症作用は、傷害部位にたまった変性組織や過剰タンパク質を選択的に分解することにあります。線維素（フィブリン）を主要標的とし、炎症滲出物や血栓の除去を促進。これにより局所の浮腫が減り、健常な組織の再生へと導きます。また、サイトカインなどの炎症メディエーター分解によるカスケード抑制効果も報告されています。

術後の腫れや外傷後のむくみを軽減したい場合、α-キモトリプシンは早期回復のサポート役として有用です。炎症物質の循環亢進とリンパドレナージュを向上させるため、腫脹を伴う痛みを早期にコントロールできます。日本の多くの外科領域でも術後管理プロトコールの補助療法に取り入れられ始めています。

さらに、呼吸器疾患への応用も広がっています。α-キモトリプシンは気道内の粘稠な喀痰を溶解し、排出を容易にします。慢性気管支炎や副鼻腔炎に伴うタンパク質主体の粘液が気流を阻害しやすい患者において、呼吸機能の改善や二次感染の抑制に繋がることが確認されています。

α-キモトリプシン適応例としては、抗炎症作用を活かした術後ケアのほか、外傷・打撲後浮腫、歯科領域の口腔術後腫脹などがあげられます。α-キモトリプシン用法用量は医師指導のもと、症状や患部に応じて適正に設定し、安全で効果的な治療を実現してください。