医薬品分子設計やナノ材料開発で存在感を増す2-(オクタデシルオキシ)エタノール。その高性能な合成・精製技術は、研究再現性と製品品質を左右する最重要項目だ。ここではその課題と革新手法を、寧波イノファームケム株式会社が蓄積した事例データとともに詳述する。

従来はブロモオクタデカンとエチレングリコール系化合物のウィリアムソンエーテル合成が主流だが、炭素鎖が長く疎水性が極端に高いため反収率が振れやすく、かつ高品位化が困難だった。そこで同社は相間移動触媒(PTC)の導入で反応速度を格段に向上。水系と疎水系を巧みに架橋し、段階的に結晶化温度を制御することで、実質収率を大幅に改善している。

精製工程も革新的だ。研究室スケールではシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル+ヘキサン勾配溶出)が標準だが、量産段階では対向流液液抽出と疎水性タグ併用クリスタライゼーションのハイブリッド法を確立。省溶媒・省エネルギーで医薬原薬基準の純度99.5%以上を安定的に達成する。この高純度試薬を安価かつ継続的に調達できる環境が、創薬前臨床スクリーニングの信頼性を高めている。

価格形成要因は合成難易度、精製回数、ロット規模だが、寧波イノファームケム株式会社は装置共用化と原料フロー最適化により大幅なコスト削減を実現。研究開発現場の予算制約を考慮した段階的プライシングで、品質を担保したまま低コスト供給を可能にしている。