スキン・ヘアケア製品の処方を見ると、頻繁に「Cocamidopropyl Betaine(略称:CAPB)」の文字を目にするようになりました。しかしこの「ココアミドプロピルベタイン」は、一体何なのか、なぜ多くのブランドが手放せない成分なのか。本稿では、その科学背景と魅力を詳しく探ります。

原材料となるココナッツ油の再生可能性に加え、「肌や髪を傷めにくいマイルドさ」がCAPB最大の特徴です。強力ながらも皮膚バリアを奪うケミカルサーファクタントとは異なり、CAPBは汚れを落としつつ適度な保湿効果を保つため、敏感肌や細い髪の方にとっても安心感のある洗い上がりを提供します。

製品設計面での強みは

  • 他の界面活性剤と相乗して豊かな泡立ちと洗浄力を向上
  • 泡の質感をクリーミーに整え、摩擦を低減
  • 帯電防止効果で髪のパサつき・広がりを抑制

といった点にあります。泡立ち=洗浄力という消費者心理に応えながら、実際の肌ストレスは低下させるという“理想の選択”を可能にします。

近年のサステナブル志向も押し上げ要因です。CAPBは高い生分解性を示し、水環境へ与える負荷が小さいため、「環境に優しい製品」を掲げるブランドにとって欠かせません。

安全性については、精製工程で混入しうる不純物に対する個人差が指摘されることがあります。しかし大手メーカーは最新の精製技術で純度を高め、皮膚刺激性テストとパッチテストを徹底。ユーザーは信頼できるブランド選びと、新製品の場合はパッチテストを心掛けることでリスクを最小化できます。

総じてCAPBは「やさしさ」「洗浄力」「環境性」を高次元でバランスさせる稀有な処方材料。シリコンフリー処方や sulfate-free処方が加速する中、CAPBはこれからもシャンプー・ボディソープ・フェイシャルクレンザーを中心に、マイルドかつ高性能なケアの黄金スタンダードとして存在感を増していくことでしょう。