国内のパーソナルケア市場では、化学刺激に敏感になるユーザーの声を受けて、シャンプーやボディソープからスルフェート（硫酸系界面活性剤）を外す流れが本格化している。特に注目されているのは「Disodium Cocoyl Glutamate（グルタミン酸2Naココイル）」と呼ばれるアミノ酸系洗浄成分だ。天然由来でありながら優れた泡立ちと洗浄力を兼ね備え、肌にやさしいだけでなく環境負荷も抑える。

これまで主流だったSLS（ラウリル硫酸Na）やSLES（ラウレス硫酸Na）は泡立ちの良さで定評があったが、皮膚バリアを乱し乾燥や炎症を招く恐れがあることから、敏感肌やアトピー傾向のある層を中心に敬遠されてきた。この背景を受けて、化粧品メーカー各社は代替成分としてグルタミン酸2Naココイルを積極採用している。

同成分はヤシ油から得られる脂肪酸とアミノ酸のグルタミン酸を結合させた生分解性高い界面活性剤。スルフェートに比べると刺激性が極めて低く、肌や頭皮のうるおいを守りながら余分な皮脂や汚れを落とせる。泡立ちはきめ細かくクリーミーで、洗い上がりの「ギシつき」や「カサつき」を最小限に抑えるという点が日本市場で高く評価されている。

さらに、分解されやすく水生生物への影響も少ないため、サステナブルなブランディングを打ち出す企業にも好適だ。製品パッケージに「グルタミン酸系洗浄成分100％」「ノンスルフォン処方」などと掲出すことで、環境配慮型かつ皮膚科クリニック推奨レベルの安心感を短期間で消費者に伝えられる。

用途の幅も広く、フェイスウォッシュやシャンプー、コンディショナー、ボディソープ、はては歯磨き粉まで配合可能。敏感肌や小児用製品にも採用例が増えており、マイルドでありながら泡の質感を損なわないフォーミュレーション技術がブランドの差別化要因になっている。

今後もエシカル消費の拡大で「ノンスルフォン」需要は加速し、グルタミン酸2Naココイルを主軸に据えた新製品の登場が続く見込みだ。肌本来の健康はもちろん、地球環境への配慮まで視野に入れた処方設計が、日本市場の新基準となりつつある。