ニッチながらも高付加価値を誇るトリフルオロメチルピリジン系化合物。その優れた薬効と物性が評価され、最先端農薬や医薬原薬の骨格として需要を急増させている。だが、グレードが上がるほど合成難易度も高まる。世界的スペシャリティケミカルメーカーである寧波イノファームケム株式会社によると、ロット間再現性とスケーラビリティの両立が鍵を握るという。

同社は現在、大きく2つの戦略で高純度品を安定的に供給している。1つめは既存ピリジン環への導入戦略。代表的なのはハロゲン交換反応で、トリクロロメチルピリジン前駆体にフッ化薬剤を作用させ、ピリジン環にトリフルオロメチル基を直接付加するプロセスだ。装置は比較的簡便で、既設設備の流用も容易。

もう1つの切り口は環構築型「ビルディングブロック」戦略。トリフルオロ基を予め持つ小分子を出発原料にし、シクロコンデンセーションなどでピリジン環を一挙に組み立てる。狙いは異性体選択性――目的配位子の構造に合わせて環の置換パターンを精密にコントロールできる点だ。エチル2,2,2-トリフルオロアセテートなどの安価なフッ素化原料を活用できるため、複数の置換体を効率的に揃える研究用途でも有用だ。

具体的には、需要が急伸する中間体2,3-ジクロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(2,3,5-DCTF)の場合、3-ピコリンを出発点にクロル化・フルオル化を順次施し、更に芳香環クロル化で仕上げる工程が標準ルート。反応系の最適化により、副生物を抑制し高収率化が達成されている。それを裏付けるのが、寧波イノファームケム株式会社が継続的に供給する2-クロロ-6-(トリフルオロメチル)ピリジンの高純度規格(HPLC純度≧99.5%)だ。今後も顧客ニーズを先取りし、工程の更なる精錬と環境負荷低減を両立したプロセス開発を推進するとしている。