「肌に優しく、なおかつ長期保存できる製品」を求める声が高まる中、配合成分の安全性は消費者だけでなく開発者にとっても最重要課題だ。抗菌力と肌なじみの良さで多くの処方に採用されている保存剤・有効成分「O-Cymen-5-ol」も例外ではない。今回は、同成分を巡る世界の規制動向と、知っておくべきポイントを整理した。

まず世界各国の制度を概観すると、欧州連合（EU）では防腐目的での上限濃度を0.1%に規定し、使用を認可。米国では業界団体 Cosmetic Ingredient Review（CIR）が「推奨濃度内での使用は安全」と結論付けている。このように公的機関からの“合格サイン”が出ていることは、安心感の大きな根拠となる。

一方、リスクは完全にゼロではない。厚生労働省の要請を受けた日本発の動物試験では、極めて高用量で神経毒性の兆候が報告されたことがあり、その結果を受けて国ごとの濃度基準がより厳格になったケースもある。また、ごく一部で接触皮膚炎やアレルギー反応が確認されている。敏感肌を持つ人や新製品を使い始める際は、必ずパッチテストを実施する習慣を心がけたい。

消費者向けのチェックリストは以下の通りだ。
・処方上の含有量が0.1%以下に留まっているか
・「成分表示」または添付文書で使用目的（防腐・皮膚保護など）が明記されているか
・製造元・原材料メーカーが信頼できる安全データシート（SDS）を公開しているか
価格が非常に安いO-Cymen-5-olには不純物の混入リスクも指摘されており、トレーサビリティの明確なサプライヤーからの調達が品質の手がかりになる。

結論を言えば、用法用量と供給ルートを守ればO-Cymen-5-olは安全かつ有用な保存剤である。規制当局の承認を得た上で、透明性の高い情報開示に取り組むブランドと、成分・表示を確認して使う消費者の双方が協働すれば、安心してパーソナルケア製品を楽しめるはずだ。