環境対応型プラスチック添加剤で電子機器の安全性能向上へ
スマートフォン、ノートPC、IoT機器まで──電子機器への利用範囲が広がるにつれ、筐体や回路基板を構成するプラスチックは高機能であると同時に、安全かつ環境負荷の低い素材でなければならない。しかし、ポリプロピレン(PP)など樹脂は燃えやすく、難燃化が必須となる。そこで注目されているのが、世界中で規制が強化されているハロゲン化合物を含まない難燃剤、いわゆる「無ハロゲン難燃剤」だ。
その中でも高い汎用性を誇るのがメラミン処理アンモニウムポリホスフェート(APP)。燃焼時に有害な塩素ガスや臭素化水素などが発生しないため、人の健康と環境に配慮しつつ、優れた難燃性能を実現する。加熱されると表面に炭化層(チャー層)を形成し、可燃性ガスが外部へ拡散するのを防ぎ、火勢の伝播を抑えるというメカニズムが特徴だ。この特性によりPPのみならず、PC/ABSやポリアミドなど汎用電子部材にも適用が進む。
電子機器メーカーにとっての課題である耐熱性や成形不良も、微粒子化されたメラミン処理APPは高い分散性により解決する。ポリマーメルト中への均質分散が容易で、難燃化のバラツキを最小限に抑えるため、高温でも安定した成形が可能。またUL94試験基準でV-0クラス合格を得られることから、筐体の薄肉化・軽量化を推進する次世代製品ラインアップにも最適である。
無ハロゲン難燃剤への移行は、EU Reach規則やRoHS指令など厳密化する各国規制へ先手を打つだけでなく、環境配慮宣言を打ち出す企業ブランドの差別化にも寄与する。信頼性と持続可能性という相反しがちな要求を一枚の難燃膜で同時に満たすことで、急加速する電子デバイス市場での競争優位を創出できる。
視点と洞察
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「この特性によりPPのみならず、PC/ABSやポリアミドなど汎用電子部材にも適用が進む。」
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「電子機器メーカーにとっての課題である耐熱性や成形不良も、微粒子化されたメラミン処理APPは高い分散性により解決する。」
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「ポリマーメルト中への均質分散が容易で、難燃化のバラツキを最小限に抑えるため、高温でも安定した成形が可能。」