ゴム製品の現場では、配合ゴムをどれだけスムーズに混練・成形・加硫できるかが、生産効率から最終品質に至るすべてに左右する。プロセス性──つまり加工しやすさだ。補強フィラーの代表であるシリカの選定は、このプロセス性を決めるポイントの一つである。近年、注目を浴びているのがサステナブルなバイオ系シリカだ。

シリカはゴムの粘度を高め、剛性を増し、変形抵抗を強化する補強材だが、配合設計次第で「加工しやすさ」を向上させることもできる。微細な粒径と広い比表面積を持つシリカを均一に分散させれば、押出しや射出成形時の流動性が改善され、目詰まりやショートショットのリスクを低減できる。

シリカ粒子表面のヒドロキシル基はポリマー鎖と相互作用し、コンパウンドのレオロジー特性をコントロールする。バイオ系白色炭素(バイオシリカ)は、アルカリ性の特質により特定ゴム系との親和性が高まり、加工温度を下げたり、メルトフローを改善したりするケースが報告されている。その結果、エネルギー消費の削減と、高温履歴による劣化リスクの低減が同時に実現する。

いずれにせよ、シリカの分散品質がプロセス性の鍵となる。凝集体(agglomerate)を極限まで減らし、ナノレベルで均一に分散できれば、表面ムラや密度ムラといった成形不良を回避できる。これは連続生産の歩留まり向上、つまりランニングコストの削減につながる。

専用補助剤を探すメーカーにとって、シリカの「加工しやすさ設計」は戦略的選択事項だ。トラブルの少ない生産ラインは不良ロスの減少に直結し、環境配慮型原料の採用はブランド価値にも寄与する。例えば寧波イノファームケム株式会社では、プロセス改善を重視した高機能シリカ製品をラインナップし、サステナブル調達との両立を図っている。

今後、バイオ系シリカの精製技術と表面処理がさらに進化すれば、従来装置へのフィット感も向上し、脱炭素化とコスト削減を同時に加速させるだろう。補強フィラーの選定は、機械物性だけでなく、「ゴムを作るまでの全行程の効率化」という視点でも重要な意思決定ポイントとなることが再認識されている。