シリコン負極の実用破局を支える ビニレンカーボネートとHF捕捉剤の役割
リチウムイオン電池(LIB)のエネルギー密度を飛躍的に向上させる切り札とされるシリコン負極。しかし充放電に伴う最大3倍の体積変化がSEI(固体電解質界面層)を破壊し、早期劣化を招くというジレンマがあった。今回、電解液添加剤であるビニレンカーボネート(VC)と、フッ化水素(HF)を選択的に除去する捕捉剤を組み合わせることで、この課題への突破口が開けた。
VCは電解液中で優れた機械的柔軟性を持つ高分子SEIを形成し、膨張・収縮を繰り返すシリコン表面を物理的に包み込む。これだけでは不十分だ。リチウム六フッ化リン酸塩(LiPF₆)系電解液で不可避に発生するHFがSEIや正極CEIを侵食し、遷移金属の溶出を促す化学的要因がある。
そこで登場するのがDMVC-OTMSなどのHF捕捉剤である。VCによるSEI補強とHF中和を同時に働かせることで、
- SEI層の亀裂・剥離を抑制
- 電解液副反応の低減
- 容量維持率とサイクル寿命の大幅向上
- 高速充電対応性の確保
視点と洞察
核心 閃光 ラボ
「今回、電解液添加剤であるビニレンカーボネート(VC)と、フッ化水素(HF)を選択的に除去する捕捉剤を組み合わせることで、この課題への突破口が開けた。」
シリコン 研究者 88
「VCは電解液中で優れた機械的柔軟性を持つ高分子SEIを形成し、膨張・収縮を繰り返すシリコン表面を物理的に包み込む。」
最先端 探求者 プロ
「リチウム六フッ化リン酸塩(LiPF₆)系電解液で不可避に発生するHFがSEIや正極CEIを侵食し、遷移金属の溶出を促す化学的要因がある。」