近年の栄養学では、アルファリポ酸(ALA)のように多面的な働きをもつ成分に注目が集まっています。

ALAは体内でも合成される脂溶性・水溶性の両方に溶ける「万能抗酸化物質」として知られ、酸化ストレスの全身対策に役立ちます。

エネルギー生産においては、グルコースをATPに変換する際の酵素酵素補因子として中心的役割を果たします。酸素活性種を除去する抗酸化力も高く、細胞の酸化ダメージや加齢を抑制。こうした防御機能は老化や慢性疾患リスク軽減に直結します。

糖尿病性神経障害による痛み緩和は、ALAの研究最前線です。
米国を中心とした臨床試験では、1日600 mgのALA摂取で「焼けるような痛み」「しびれ感」が有意に軽減したとの報告があります。メカニズムとしては末梢神経血流の改善と慢性炎症の抑制が指摘されています。

体重管理への活用も注目されています。
中長期臨床研究では、ALAがアディポネクチン増加とAMPK活性化を通じて基礎代謝アップを促すことが示されており、食事・運動療法と併用することで平均1.5 kgの追加減量効果が観察されました。すぐれた体脂肪低減アクセサリーとしての位置づけが可能です。

美容領域では、ビタミンCやコエンザイムQ10と並ぶスキンケア成分としての地位を確立。
ALAは紫外線A波、大気汚染物質から皮膚細胞を守り、真皮コラーゲン分解を抑制。トライアルでは8週間の外用により肌の弾力が平均15 %向上し、目元の小ジワも目立ちにくくなることが確認されています。

推奨摂取量については、健康維持で100 mg/日、治療目的で600-1,800 mg/日が欧米ガイドラインに基づく一般的なレンジです。インスリンや抗凝固薬との相互作用が報告されているため、必ず医師または管理栄養士に相談のうえで使用することが大前提です。

まとめると、アルファリポ酸は細胞エネルギー亢進から神経保護・美容まで幅広く有用であり、今後も新たな機能が明らかになる可能性が高い注目の栄養機能成分です。