2-Mercapto-N-Methylbenzamide(CAS 20054-45-9)は、分子式 C8H9NOS、分子量 167.23 の有機硫黄化合物。抗がん剤アキシチニブ(商品名など:Inlyta®)の合成に欠かせない高付加価値中間体として、製薬分野で注目を集めている。本稿では、その基本的物性・合成戦略・用途を整理し、研究開発の現場に向けた実践情報を提供する。

物性と取り扱い

  • 外観:オフホワイト~薄ベージュ結晶性粉末
  • 融点:94–96 °C(室温では固体)
  • 空気・熱両面でやや敏感 → 窒素置換、2–8 °C冷蔵保管推奨
  • 溶解性:CH3CN、CHCl3、CH3OH にわずかに可溶

代表的合成法

工業的には、2-hydroxy-N-methylbenzamide を出発原料に、dimethylaminothioformyl chloride をカップリング剤として、トリエチレンジアミンや DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)など塩基の存在下でチオ化反応を進める。反応後の精製条件を最適化することで高純度(≧98%)品を安定的に得られる。

主要用途

  1. アキシチニブ(A794650)前段原料
    アキシチニブはVEGFR-1/2/3を強力に阻害するチロシンキナーゼ阻害剤で、進行腎細胞がん治療に用いられる。2-Mercapto-N-Methylbenzamide がその骨格に必須の置換基を効率よく導入できるため、前駆体として位置づけられる。
  2. 新規チロシンキナーゼ阻害剤研究
    メルカプト基とアミド骨格を利用した構造拡張は創薬化学における有用な戦略。当該化合物は他の候補化合物の合成起点としても活用可能。

供給体制と入手性

原料2-Mercapto-N-Methylbenzamide は、信頼性の高い供給体制を持つ寧波イノファームケム株式会社が kg スケールでの安定的供給を展開。GMP 準拠品質規格に対応したロットも用意されるため、前臨床~初期臨床段階の需要に応える。

まとめ

2-Mercapto-N-Methylbenzamide は、構造が明確でありながら化学的に多彩な反応性を持つため、がん治療薬を中心とした医薬中間体の要となる。高品位合成と確実な供給体制の両立が、次世代創薬のスピードアップを後押しする。