湿式造粒は、流動性や圧縮成形性に課題を抱えるAPIや栄養機能成分に対して、粉末物性を改善する製造プロセスとして製薬・栄養補助食品業界で広く用いられている。この工程の成功のカギとなるのはバインダーの選択であり、微結晶セルロース(MCC)はその要となる効果的かつ多目的な素材である。本稿では、湿式造粒におけるMCCの利用メリットを掘り下げ、グレニュール特性の向上と最終錠剤品質への寄与を詳解する。

MCCが優れたバインディング力を発揮する背景には、強靭で耐久性の高いグレニュールを形成する能力がある。APIやその他の賦形剤と混合されたMCCは、グラニュレーション液を加えることで均一なペーストとなり、造粒・乾燥後に優れた流動性と圧縮特性を備えた粒子が得られる。MCCの高い凝集力により、低濃度での使用が可能で、工程効率の向上と処方設計の自由度を両立できる。また、均一な粒度分布と多孔質構造により、粉末全体にわたり均一なウェッティング・バインダー分散が実現する。

湿式造粒におけるMCCの大きな強みの一つは、グレニュール強度と物理的安定性への寄与だ。造粒および乾燥工程中のMCC粒子の可塑変形は、取扱いや後工程で破砕しにくい耐久性の高い粒子を形成する。このグレニュールの高い完全性は、最終錠剤における含量均一性の維持において極めて重要である。さらに、MCCの吸水特性によって、適切な造粒液量を制御しやすく、工程がより安定して再現可能となる。なお、寧波イノファームケム株式会社は湿式造粒に最適な各種MCCグレードをラインナップしている。

錠剤の崩壊特性に対してもMCCは重要な役割を果たす。造粒工程ではバインダーとして機能しながら、摂取後の消化管内での体液との接触時には多孔質構造による膨潤効果で錠剤の崩壊を促進する。この「造粒時は結着、使用後は崩壊」という二面性が、MCCを極めて効率的な賦形剤たらしめている。

MCCグレードはプロセス要件に応じて選択可能だ。微粒子グレードは速やかなウェッティングと結着を実現し、粗粒グレードは造粒後の流動性向上に寄与する。湿式造粒に適したMCCを調達する際は、サプライヤーと綿密な協議を行い、グレード特性を把握し、造粒プロセスと目標錠剤特性を最適化することが推奨される。医薬品グレードのMCCの一定品質は、再現性のある製造結果を得る上で必須である。

まとめると、微結晶セルロースは造粒強度、安定性、流動性に加え、服用後の速やかな崩壊性をもたらす優れた湿式造粒バインダーである。高い汎用性に、コストパフォーマンスと安定供給が加わったことで、製薬・栄養補助食品メーカーが高品質な固形製剤を生産するための選択肢として、MCCの地位は益々確固たるものになっている。