処方設計に最適な微結晶セルロースグレードの選び方
微結晶セルロース(Microcrystalline Cellulose, MCC)は一様な素材ではありません。医薬品錠剤製造において、個別に設計された物性値を持つ複数のグレードが用意されており、それぞれが異なる性能を発揮します。粒径、仮比容量、含水率などの違いが圧縮成形性、流動性、結合能に及ぼす影響を正確に把握することが、最適な処方への第一歩となります。
業界で最も頻繁に参照されるのが「MCC 101」と「MCC 102」の2種類です。MCC 101は微細な粒子を有し、ウェットグラニュレーション向けでありながら、ダイレクト圧縮でも優れた性能を示します。一方で粒子径がやや大きく、仮比重の高いMCC 102は、優れた圧縮成形性と流動特性を兼ね備えた通用グレードとして、ダイレクト圧縮用途で幅広く採用されています。細粉原薬との混合時に流動阻害が懸念される場合、MCC 102による改良効果が期待できます。
さらに、MCC 200のように粗粒設計されたグレードは飛躍的な流動性を提供し、独自の流動性に難があるAPIとの組み合わせに威力を発揮します。逆に含水率を極力抑えたMCC 112やMCC 113は、水分に敏感なAPIの安定性確保や加水分解による劣化防止に貢献します。
使用製造工程も重要な選択指標です。高速打錠ラインでは、圧縮・流動バランスの優れたMCC HD 90やMCC 90 M COARSE等が推奨され、過酷な条件下でも高品質錠剤を効率的に生産可能です。また、乾式圧縮かウェットグラニュレーションかは、あるグレードが一方の工程で特長を発揮するための判断基準ともなります。
微結晶セルロース粉末を調達する際は、サプライヤーとの詳細な技術相談と仕様書の比較検討が欠かせません。仕様書には各グレードの物性一覧と推奨用途が記載されており、食品添加物向け食品グレードもしくは先進的な製剤設計用医薬グレードのいずれを必要とする場合も、最適なグレード選択が効能・安全性・製造適性すべてを確実にします。高品質な微結晶セルロースが安定的かつ競争力のある価格で供給されることで、製薬業界はもとより幅広いセクターでのイノベーションが加速します。
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