木材や綿花など豊富な天然資源から、いかにして機能性に優れた医薬品添加剤「微結晶セルロース(Microcrystalline Cellulose:以下 MCC)」が生まれるのか。その道程は、緻密な化学プロセスの積み重ねに支えられている。

MCCの出発点は、植物細胞壁を構成する主成分「α-セルロース」に限定される高純度パルプ。これに無機酸(代表的には塩酸)による酸加水分解を施すことで、セルロース高分子鎖のアモルファス領域が選択的に分解され、結晶性が高まった短鎖断片が結晶領域となる。この厳密に制御された低重合化こそ、MCCが示す特徴ある微結晶セルロースの物性を決める鍵だ。

加水分解後のスラリーは中和・水洗を経た後、概ねスプレードライ法で乾燥・整粒。こうして得られる白く無臭の微粉末は、平均粒径や凝集状態を自在に設計できるため、バルク密度や流動性といった打錠時の粉体特性を要求仕様に合わせて最適化が可能である。特に粉体をそのまま圧縮する直接圧縮法では、この調整精度が製品均一性に直結する。

次に医薬添加剤としてのMCCの真髄を探ると、結晶領域がもたらす高い機械強度と剛性、そして残存アモルファス領域が生む適度な膨潤性が相乗し、優れた錠剤用結合剤(タブレットバインダー)としての性能を実現している。水素結合による分子間相互作用は粒界面を強固に結びつけ、打錠後の錠剤強度を向上させる。

注目すべきはMCCの塑性変形特性だ。脆性材料のように応力で破砕するのではなく、圧縮力に応じて粒子が流動・変形し、接触面積を最大化。これにより均一で耐久性の高い錠剤構造が形成される。

こうしたメカニズムを精密に解析してきた結果、各用途向けに微結晶セルロースの用途やグレードが細分化されている。直接圧縮用、湿式造粒用、崩壊剤用など、寧波イノファームケム株式会社は科学データに裏打ちされた設計思想で、医薬業界が求める厳格な品質要件を満たすMCCを安定供給し続けている。