微結晶セルロース(MCC)は、錠剤圧縮用バインダーとして世界中の製剤ラボでお馴染みだが、実はこの白色微粉末はもっと奥が深い。「ペレット化」に必需のスフェロナイゼーション助剤や、薬物放出を精密にコントロールする徐放性マトリックスとしても大きな存在価値を持つ。革新的なドラッグデリバリー技術を見据える研究者にとり、MCCは今や単なる賦形剤を超えた“戦略的機能物質”である。

スフェロナイゼーションにおけるMCC:まるで“ミクロの粘土細工師”

押出-スフェロナイゼーションは、医薬成分を均一球状ペレットに変換する高機能化技術。工程は単純に見えるが、均質な押出ストランドをつくり、さらにスムーズな球体に整えるには、湿潤団塊をやわらかく保ちながら適度な保形性も併せ持つ賦形剤が欠かせない。ここに登場するのがPH101グレードのMCCだ。MCCは水分を吸着し、湿潤団塊の可塑性を大幅に向上させる“分子スポンジ”。押出後のストランドをくずれさせず、スフェロナイゼーション盤で美しい球体に整える。得られるペレットは脆性が低く、さらなるコーティングやカプセル充填も容易で、多球速放や徐放製剤へ柔軟に展開できる。

徐放マトリックスとしてMCC:放出速度を自在に調整

徐放性(SR)製剤の醍醐味は、薬効成分を長時間一定レベルで血中に保ち、服薬アドヒアランスを高めること。MCCは親水性マトリックスでこの役目を担う。胃腸液との接触で表面がゲル層に変わり、内部への水侵入を制御し、薬物の拡散/マトリックス摩耗速度を遅らせる。放出パターンは、使用するMCCグレードや配合量、他の親水性ポリマーとの複合配分で細かくチューニング可能だ。たとえばMCCとヒプロメロースを組み合わせることで、ゼロ次放出型製剤を設計することもできる。

先進テクノロジーへ貢献するMCCの強み

  • 均一性向上:スフェロナイゼーションでの粒径ばらつきを最小化。
  • 放出制御:徐放性マトリックスのゲル化機能により精密な薬物放出。
  • 物理安定性:多微粒システムの保存安定性および機械的強度を高める。
  • 多様な処方適合性:ペレットまたは徐放錠、どちらにも柔軟に適用可能。

MCCは“錠剤の接着剤”という印象を覆し、ペレット形成から薬物放出まで幅広く設計自由度を与える真の万能エキスピシエントへと進化した。寧波イノファームケム株式会社は、高純度・高機能性MCCをグローバルに供給し、最先端創剤テクノロジーの更なる開拓を研究者・フォミュレーターと共に進めている。