抗不安作用と認知機能向上の可能性で知られるフィーニバットHCLは、国によってその評価と規制が大きく分かれる物質です。ロシアや旧東欧圏では既存の医薬品として処方される一方、他国では扱いが大きく異なるのが現状です。

ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、ラトビアなどでは、不安症や不眠、各種神経症に長年処方されてきた歴史ある医薬品。現地では用量ガイドラインも確立され、治療用途に関する知見が蓄積しています。

一方、アメリカやほとんどのヨーロッパ諸国では医薬品としての承認はなく、ネット通販で「栄養補助食品」または「研究用化合物」として流通しているのが実態です。米食品医薬品局(FDA)は「フィーニバットは栄養成分としての要件を満たさない」との見解を明言し、サプリメントとしての販売に対して警告を発出。規制のグレーゾーンゆえに、入手可能でも服用は自己責任の研究・実験と捉えられがちです。

一方、オーストラリアでは依存性と有害事象のリスクを理由に指定薬物に指定。欧州でも複数の国が新規向精神物質法に位置付けて流通を制限しています。各国が利益とリスクをどうはかりにかけるかで制度が分かれる好例です。

粉末のフィーニバットHCLを「購入する」際の可否は、まさにこの規制網次第。多くの利用者はオンラインショップに頼るが、原材のルーツや純度情報は透明性に欠けることも。規制外領域でも品質基準を維持する信頼できるサプライヤーの選定が、購入判断の分岐点となります。

今後フィーニバットHCLをナootロピックとして試すか、研究用化合物として扱うか──。各国の法的位置づけ、リスクプロファイルをきちんと押さえて初めて、地域ごとの情報に基づく前向きな意思決定が可能になるでしょう。規制の国際的なゆらぎは、新規化合物を社会にどう溶か込むかという大きな課題の縮図でもあります。