ポリエチレングリコール1500(PEG 1500)は、医薬・化粧品分野で欠かせない中分子量ポリマーです。高い水溶性、化学的安定性、そして極低毒性を兼ね備えたことから、経口・注射剤などの先進的な製剤設計からスキンケア製品まで幅広く採用されています。

PEG 1500の化学構造はHO(CH₂CH₂O)nHで表され、エチレンオキサイド単位が連鎖した構造を持ちます。このエーテル結合が豊富に存在することで、広範囲の温度・pH域で変わらない高い水溶性を実現。また、水溶液における加水分解耐性にも優れ、製剤保存時の成分劣化を抑えます。分子量が約1500ダルトンに位置することで常温では半固体~ワックス状となり、秤量・混合工程での取り扱いも容易です。

医薬分野での主な用途

  • 溶解補助剤:疎水性APIの溶解性を高め、経口剤や注射液のバイオアベイラビリティ向上に寄与。
  • 安定化剤:光・温度・酸化に敏感なAPIの分解を抑制し、製剤品質を長期に保持。
  • 錠剤バインダー・潤滑剤:造粒時の結合性と打錠時の型離れ性を同時に改善し、固形製剤の生産性を高める。
  • 粉末流動性向上:直接打錠やカプセル充填で粉体の流動性・圧縮成形性を改良。

化粧品分野への応用

保湿剤として皮膚の角層に水分を保持し、乳液・クリームでのエモリエント効果でなめらかな肌触りをもたらします。乳化助剤として油相・水相のなじみを高め、長期安定な処方設計を可能にすることから、スキンケア製品だけでなくヘアケア製品にも幅広く配合されています。

PEGylation技術との連携

高分子量PEGを用いたPEGylationプロセスと合わせて用いることで、APIの循環半減期延長や免疫原性低減を狙った製剤設計の基盤にも貢献。医薬品グレードのPEG 1500は、単なる受動的な補助原料にとどまらず、自ら製品性能を向上する「機能性ケミカル」として注目されています。

要するにPEG 1500は、医薬・化粧品の両分野で継続的なイノベーションを牽引するマルチパーパス・アジュバントです。その優れた溶解性、安定性、生体適合性は、患者・消費者のニーズが進化しても不変の価値を提供し続けます。