ラン科の宿根草本・シラン(Bletilla Striata)は、中国伝統医学で2 000年以上にわたり重宝されてきた薬用植物です。塊茎「バイジ(白及)」は、出血や炎症性疾患に処方され、止血と組織修復への効果が知られていました。こうした古典的な用途を最新の科学的アプローチが裏付けるとともに、成分を網羅的に同定し作用メカニズムを詳細に解析することで、同植物の治療ポテンシャルはさらに広がっています。

これまでのフィトケミカル研究で、シランより単離された化合物は190種を超えます。代表的な骨格にはビベンジル類、フェナンスレン誘導体、トリテルペノイド・サポニン、ステロイド・サポニン、リンゴ酸誘導体、アントシアニンなどが挙げられ、中でもビベンジルとフェナンスレンはシランの「化学顔」を象徴するスキャフォールドです。また、Bletilla Striata Polysaccharide(BSP)を筆頭とする多糖類が主要活性成分として数多くの薬理機能を担うことも明らかになっています。

これらの複数成分がもたらす薬理作用は多岐にわたります。創傷治癒作用は止血能と相まって炎症の収束・組織再生を促進します。さらに抗生物質耐性菌を含む幅広い細菌に対して抗菌活性を示し、次世代抗菌薬候补としての期待が高まっています。抗ガン作用では、複数のガン細胞株に対して細胞死を誘導したり、細胞周期を阻害したりする化合物が報告されています。

強力な抗酸化能も注目の的です。各種エキスや化合物は活性酸素種を効率的に除去し、細胞の酸化ストレスを軽減して抗老化効果に寄与します。また、インフルエンザウイルスなどへの抗ウイルス作用も確認されており、独自の複製阻害機序が示唆されています。このように作用領域が多様であることは、シランが革新的な治療剤のリード源になり得ることを示しています。

製薬や健康食品への応用を確実にするには、品質管理が不可欠です。産地・栽培条件・使用部位は化合物プロファイルに大きな揺らぎをもたらすため、多糖含量やマーカー化合物(例:ミリタリン)を基準とした規格化が求められます。寧波イノファームケム株式会社は厳格な品質管理基準に則り、シランエキスの安定供給を通じて医薬品・化粧品・健康補助食品分野での研究・開発を支えています。