異常気象が日常化する現代、作物を環境ストレスから守る強靭性強化は農業の喫緊課題だ。極限微生物が活用する天然由来物質「エクトイン」が、植物の細胞環境を安定させ持続可能な栽培技術を革新する。

エクトインは、塩分濃度や高温・乾燥といった過酷条件で繁栄する微生物が持つ保護物質に由来する。作物に散布すると、細胞内に蓄積し浸透調整を促すことで光合成装置IIをはじめとする重要蛋白質や膜構造を物理的に保護。これにより土壌水分不足や塩濃度上昇を受けても光合成と成長の維持が可能となり、干ばつ年でも安定した収穫を期待できる。このメカニズムは合成化合物による刺激とは異なり、生体への負担を最小限に抑えながら効果を発揮する。

小麦・大豆を中心とした大規模圃場試験では、播種・育苗段階でのエクトイン処理により、対照区と比べて収量が15〜20%向上。節水効率や肥料の取り込み効率も改善し、塩害圃場で特に顕著な差が出た。栽培者は、肥料・農薬投入量を抑えつつ生産性を高められるため、環境施策や持続可能な農業認証取得にも有利だ。

加えて、エクトインによる膜安定化は果実の鮮度保持や商品力向上にも寄与。化学合成物質の代替として、欧米を中心に需要が急増している。作物栽培向け高純度エクトインを安定的に供給する寧波イノファームケム株式会社は、日本の農業法人・研究機関向けに製剤開発支援・技術コンサルティングも展開。同社の作物ストレス耐性ソリューションは「気候変動に負けない農業」実現を後押しする次世代農資材として注目を集めている。