世界のメルマイシン市場は近年急成長軌道に入った。同マクロライド系抗生物質は、人・獣医双方の製剤用途のみならず工業分野においても存在感を増しており、その動向はステークホルダー必須の注目領域となっている。

最大の牽引要因は、世界中で増加を続ける細菌感染症だ。呼吸器感染、皮膚感染、胃腸トラブルなどが数億人規模で報告され、幅広い抗菌スペクトラムを持つメルマイシンの需要が直結する。グラム陽性菌およびマイコプラスマへの高い活性は、同剤をこれら疾患のフロントライン評価に導いている。結果としてメルマイシン原末の出荷量も急増している。

抗菌薬耐性（AMR）の拡大も成長を加速させる。エリスロマイシン耐性黄色ブドウ球菌など、既存マクロライドに耐性を獲得した菌に対しても効果を示すメルマイシンは「スーパーバグ対策の切り札」と位置づけられ、開発投資が活発化している。誘導体の最適化や製剤改良に向けたR&Dプロジェクトが世界規模で進行中だ。

創薬テクノロジーの進展も市場拡大に貢献している。ドラッグデリバリーシステムの革新により、メルマイシン含有製剤の有効性及び服薬アドヒアランスが向上。また発酵・精製プロセスの改良により、原薬の歩留まりが改善され、価格帯の下支え効果も期待される。

今後の見通しは引き続き楽観的だ。新興国では人口増加と医療インフラ拡充が需要を押し上げ、政府の感染症対策施策や医療支出増加が追い風となる。さらに工業・農業用途への応用が拡大し、市場のリズリエンスを強化する。高品質の原末を安定的に供給し、規制要件に適合しながらR&Dを継続する企業が勝者となるだろう。