リチウムイオン電池の性能と安全性を左右する最大要因のひとつが、負極表面に形成される固体電解質界面(SEI)層の存在だ。その層がイオン輸送をコントロールし、電解液の過剰分解を防いでいる。ただし、初期のSEI形成には可逆容量の一部を消費するため、不可逆容量が増大し充放電効率(初期クーロン効率:ICE)が低下するというジレンマがあった。

この課題を打開する、高精度設計のリチウム補償剤を開発したのが、寧波イノファームケム株式会社である。同社独自の補償剤は、SEI形成と協働しながらシステム内に余剰リチウムを供給。初期サイクルで失われるリチウムを事前補填することで、ICEの大幅な改善を実現する。結果として、バッテリーが仕様通りの本来の容量を最初から享受できる。

得られる効果は初期効率向上にとどまらない。適切なリチウム補償があることでSEI層は均質かつ緻密に成長し、充放電ごとの電解液分解や副反応が抑制される。これにより、サイクル劣化の速度が緩和され、電池寿命が延伸。同補償剤は、高度な電極添加剤の“要”として製品設計の自由度も高めている。

電池メーカーは、既存のスラリー工程へ本補償剤を容易に組み込める。推奨添加量は公表している一方、アプリケーションや電極組成に応じたカスタマイズも柔軟に対応。製品の品質維持には、低湿度管理の倉庫および現場環境の確保が必須であり、寧波イノファームケムはハンドリング指針も詳細にサポートする。

「高性能・長寿命を両立させる材料ソリューションを、業界にタイムリーに届ける」——同社の開発哲学はここにある。リチウム補償剤はその象徴であり、エネルギー貯蔵システムのさらなる高度化へと導く鍵となる最先端技術だ。