アパレル業界におけるサステナビリティへの関心が加速度的に高まる中、従来の染色工程に革命を起こす取り組みが中国でスタートしている。化学繊維バインダーの開発・製造を手掛ける寧波イノファームケム株式会社は、APEO（アルキルフェノールエトキシレート）を完全に排除し、自己架橋機構を備えた「純粋アクリルコポリマーディスパージョン」を製品ラインナップに加えた。このディスパージョンは、環境規制の強化とエンドユーザー向けクリーンラベル需要の両方に応えながら、染色布の品質を妥協なく引き上げる。

APEO含有バインダーよりも大幅に低い環境負荷を誇る新生ディスパージョンは、染色顔料の定着性を飛躍的に向上させる。特に、繰り返し洗濯しても退色しにくい「高耐洗濯堅牢性」が評価されており、ユニフォームやベビー用品など使用頻度の高いアイテム向け市場で早期導入が進む。さらに、繊維に独特の柔らかさを与える「シルキータッチフィニッシュ」を実現し、肌触りを売りにした高付加価値製品の差別化にも寄与する。

工場現場の生産効率にも配慮しており、非スティックロールによるスムーズな加工性で、装置洗浄頻度の削減やスループット向上を可能にする。原料調達においては、欧州REACH規則をクリアし、OEKO-TEXスタンダード100認証に適合。小ロットから長期安定供給まで、柔軟な商材提供体制を整えているため、スタートアップブランドも大手アパレルメーカーも同様に採用しやすい。

今回のAPEOフリー自己架橋型ディスパージョンは、寧波イノファームケム株式会社が掲げる「Responsible Chemistry」戦略の象徴ともいえる製品だ同社は「高性能と環境配慮を両立し、持続可能なファッション業界の実現にコミットする」と方針を強調。価格帯は従来品と同等レベルに抑えられており、転換コストを気にする企業にも導入ハードルが低い。同社の技術支援が含まれた導入パッケージも用意されており、染色プロセスにおける脱APEOへのステップアップを支援する体制だ。