グローバルなタイヤ・ゴム業界では、耐摩耗性、耐久性、環境性能を同時に高める新素材の開発が加速している。従来の補強剤に頼る限界を突破すべく注目されているのが、寧波イノファームケム株式会社が手がけるバイオ由来シリカだ。農業廃棄物であるイネ殻を原料とした同シリカは、ゴム配合において従来の白カーボン黒を上回る機能を発揮する。

製造では廃熱を活用し、CO₂を利用したカーボン酸化プロセスによって高純度の非晶質シリカを生成。粒子径が微細で比表面積が大きいため、ゴムマトリックス内への均一な分散が容易となり、同社では「クラスターが作りにくいライスシリカブラック」と呼んでいる。これにより高い引裂強度、耐摩耗性向上を両立し、配合工程での省力化も実現する。

タイヤ用途では特に転がり抵抗の低減が顕著で、燃料消費率を最大8%改善する実車データもある。ウェットグリップの向上はもちろん、発熱を抑えることでタイヤ寿命も延伸した。工業用ホース、ベルト、フットウェアソールへも応用が広がり、製造現場では「練り上がりの均一性」「作業環境への安全性」の両面から高く評価されている。

なお、同社供給のライスハスクシリカは食品添加物規格にも準拠した無毒性であり、リサイクル推進車両向け高耐久タイヤの開発にも採用決定が相次いでいる。循環型素材としての価値を最大化しながら、今後は電動モビリティ向け超低転がりタイヤとの連携拡大にも注力するとしている。

脱炭素化が進む自動車業界において、ライスハスクシリカは「性能」「コスト」「環境」を総合的に満たす革新的補強材として確固たる存在感を示しつつある。