ポリアミドエピクロルヒドリン(PAE)樹脂は、優れた湿潤強度を付与し、その他の紙の特性を向上させたい製紙業者にとって、不可欠なツールとなっています。入手可能なPAE製品は多岐にわたり、それぞれわずかに異なる特性を持つため、特定の用途に最適なものを選ぶことは、性能と費用対効果を最大化するために不可欠です。このガイドでは、製紙業者がPAE湿潤強度剤を選択する際に考慮すべき主要な要因を概説します。

1. 紙の種類と要求される性能特性

最終紙製品の意図された用途は、PAE樹脂を選択する際の主要な決定要因です。異なる紙の種類は、湿潤強度、乾燥強度、吸収性、および湿潤強度効果の永続性に関して、さまざまな要件を持っています。

  • 高負荷湿潤強度: 工業用ワイプ、フィルターペーパー、または絶えず湿気にさらされる耐久性のある包装材などの製品には、最も高い永続的湿潤強度を提供する樹脂が不可欠です。
  • 衛生用紙(フェイシャル、タオル): 湿潤強度は重要ですが、柔らかさと吸収性を維持することも重要です。一部のPAE製剤は、これらの特性のバランスを取るように最適化されています。
  • 特殊紙: 紙幣、地図、または装飾紙には、時間の経過とともに湿潤強度の永続性と安定性が優先される場合があります。

2. プロセス条件:pHと化学的適合性

PAE樹脂は、さまざまなpH範囲での汎用性で知られており、一般的に中性からアルカリ性の条件下で良好に機能します。ただし、バリエーションが存在します。

  • pH範囲: 選択したPAE樹脂が、特定の機械のpHに最適化されていることを確認してください。一部の製剤は、有効なpH範囲の極端な端でわずかに優れた性能または安定性を提供する場合があります。
  • アニオン性物質負荷: アニオン性物質(例:再生パルプまたはその他の添加剤由来)の高濃度システムでは、強いカチオン性電荷密度を持つPAE樹脂が、繊維に結合し、アニオン性不純物による置換に抵抗するのに効果的です。
  • その他の添加剤: ウェットエンドで使用される他の化学薬品(サイズ剤、歩留まり向上剤など)との適合性は、望ましくない相互作用や、いずれかの成分の効果の低下を防ぐために重要です。

3. 樹脂の特性:固形分、粘度、および純度

PAE樹脂自体の物理的および化学的特性が重要な役割を果たします。

  • 固形分: PAE樹脂は、さまざまな固形分濃度(例:12.5%、20%、25%)で利用可能です。固形分が高いほど、単位体積あたりの活性ポリマーが多くなる可能性があり、輸送および保管コストを削減できる可能性があります。ただし、固形分の高い樹脂は粘度も高くなる可能性があり、取り扱いや希釈に影響します。
  • 粘度: 低粘度の樹脂は、一般的にポンプ、希釈、および計量するのが容易です。粘度が工場の既存の設備に適していることを確認してください。
  • 純度と副生成物: PAEはホルムアルデヒドを含まない樹脂ですが、製造プロセスにより、1,3-DCPや3-MCPDなどの副生成物が生じる可能性があります。規制要件と環境への懸念から、これらの副生成物のレベルが低い樹脂を選択する必要がある場合があります。関連する認証またはコンプライアンスステートメントについては、常に製品仕様を確認してください。

4. 使用コストとサプライヤーサポート

樹脂の購入価格は重要ですが、その価値の真の尺度 '使用コスト' です。これは、期待される性能を達成するために必要な用量、他の化学薬品への影響、および効率の増減を考慮します。

  • 用量要件: 一部のPAE樹脂は、他の樹脂と同じレベルの湿潤強度を達成するために、より低い用量で済む可能性があり、コスト削減につながります。
  • 技術サポート: 技術的な専門知識、トライアルの支援、およびトラブルシューティングを提供できる評判の良いサプライヤーと提携することは非常に価値があります。彼らは、特定のニーズに最も適したPAE製品を案内するのに役立ちます。

結論

最適なPAE湿潤強度樹脂の選択には、ターゲットとなる紙の特性、製紙プロセスの化学、樹脂固有の特性、および全体的な費用対効果の慎重な検討が含まれます。これらの要因を理解し、サプライヤーと緊密に連携することで、製紙業者はPAEの力を活用して、優れた紙の性能を達成し、機械効率を向上させ、製品の安全性と持続可能性を確保することができます。