配合に求められる洗浄力、泡持ち、肌への低刺激――それぞれを兼ね備えた界面活性剤は存在しない。そんな中、コカミドプロピルベタイン(CAPB)、ココグルコシド、デシルグルコシドは特に用途が広く、'やさしさ'を掲げる処方に頻繁に登場する。いずれもヤシ由来だが、特性は微妙に異なる。プロの処方設計士が正しく選ぶための指針をまとめた。

CAPBは両性イオン系界面活性剤の代表格。主にシャンプー・ボディソープ・洗顔料で副剤として配合され、酸性域の処方でも豊かな泡を生み、他の界面活性剤の刺激性を軽減する働きがある。洗い上がりに軽やかな調理効果を残し、洗浄力とやさしさのバランスを両立した実力派だ。

これに対し、ココグルコシドデシルグルコシドは非イオン系。植物由来のグルコースを別途原料とし、'超低刺激'を売りにする製品に採用されることが多い。泡質はCAPBほどキメ細かくはないが、クリーミーでまろやか。敏感肌用やベビー製品、アルガニア処方でも安心感を演出できる。

比較軸は三つ。①泡立ち ②刺激性 ③処方安定性

・「ふわふわ泡が命」の製品なら、CAPBを軸とする。
・「傷んだ肌でも使える」という訴求ならココ/デシルグルコシドへ。
・さらに天然由来の印象を強調したいケースは、後者2種がやや有利となる。CAPBの合成工程に比べて、より'直球'の自然派ポジショニングが可能だ。

つまり、商品コンセプトから逆算しよう。贅沢な泡を伴い、うるおいを残すシャンプーなら「CAPB + アルキルグルコシド」という組み合わせもあり得る。もちろん肌バリア重視の敏感肌クレンジングなら、単独でデシルグルコシドをベースに立てる。その判断のヒントが、今回の比較になるはずだ。