食品・飼料添加物市場が活況を呈する中、カビや菌を抑制する防腐・抗菌特性で存在感を増すプロピオン酸カリウム。安定調達を目指すバイヤーと需要を取り込みたいサプライヤーの双方が押さえるべきチェックポイントを整理した。

購買側がまず審査すべき項目は「品質の一貫性」。対象市場の食品級（フードグレード）または飼料級（フィードグレード）の規格適合は必須であり、純度（Assay）、乾燥減量、重金属など不純物含有量の試験値を必ず確認する。ISO、コーシャ、ハラールといった第三者認証を取得済みのサプライヤーから調達することで、用途別の品質要件を満たすリスクを格段に下げられる。

次に注目すべきは価格と物流条件の両立だ。プロピオン酸カリウム相場は原料プロピオン酸の価格変動に連動するため、複数サプライヤーとの長期契約や大口注文ディスカウントを交渉材料にしたい。さらに、最小ロット数（MOQ）やパッケージ形態（25 kg袋、フレキシブルコンテナ等）が自社保管設備に合うか事前に検証し、在庫圧迫や追加コストを回避する。

供給企業側の「選ばれるための条件」も明確だ。①CAS番号「327-62-8」、分子式「C3H5KO2」をはじめとしたスペック表記の明確化、②パン・菓子など製パン業界を中心に「カビ繁殖抑制＋食用期限延伸」を売りにしたアピール、③品質証明書（CoA）・SDS（旧MSDS）・各国規制適合の包括文書を迅速提出できる体制、④評価用サンプルの迅速手配――これらを標準サービスとして揃えることで、新規顧客開拓のハードルは下がる。

また、生産能力やリードタイム、輸出向け物流ルートの確保は見込み生産を可能にし、特に飼料用途で突然の大口注編が入った際も柔軟に対応できる。化学品メーカーと配送網を熟知したブローカーが中核となり、プロピオン酸カリウムの安定的な市場流通を支える構造ができあがっている。

品質、価格、規制対応、そして関係性構築――この4つの支柱を同時に最適化すれば、プロピオン酸カリウムのサプライチェーンは長期的に機能し、双方にとって利益につながる。食品保存料としての需要は今後も高まる見通しであり、早めの戦略策定が勝負を分けるだろう。