―― 寧波（中国）、2024年7月 三酸化アンチモン（Sb₂O₃）は、現代のポリマー材料を難燃仕様にする際に欠かせない助剤だ。主にハロゲン系化合物との併用で相乗効果を発揮し、厳格な火災安全基準への準拠を可能にする。Sb₂O₃が燃焼プロセスの化学反応に深く関与し、火勢の抑制に貢献できる点は、幅広い用途で高く評価されている。

難燃機構のポイントは、ポリマー中でハロゲン系難燃剤と組み合わされることで火災時に揮発性アンチモン・ハロゲン化物を生成し、その化合物が気相でのラジカル連鎖反応を阻害する働きを持つのだ。ラジカル・スカベンジャーとして火炎を「冷却」させるだけでなく、材料表面に炭化層（チャー層）を形成する補助効果もある。このチャー層は熱と酸素からポリマーを遮断し、次段階の燃焼を防ぐ。こうしたハロゲン－アンチモン併用システムは、UL-94 V-0などの最高グレードを狙う際に不可欠となる。

その用途はケーブル用PVC、電子機器筐体、自動車部品から合成繊維まで幅広く、安全性が求められる分野で欠かせない。Sb₂O₃はポリプロピレンやABSなど多様な樹脂との相性も良く、優れた混合性を示す。三酸化アンチモン難燃助剤の本質を理解することは、製品設計段階で真の防炎性能を達成する第一歩といえる。

しかし、近年は供給地の地理的偏在や需要急増により価格高騰と供絈リスクが表面化し、Sb₂O₃を代替する新技術への関心も高まっている。こうした変化を受け、寧波イノファームケム株式会社は高純度Sb₂O₃の安定供給にとどまらず、次世代難燃剤の共同開発・技術提案にも積極的に取り組んでいる。「最終製品に求められる安全性と性能の両立」を実現するため、パートナー企業との協業体制を強化している。