認知拡張の領域を探る際、脳機能の必須栄養素であるコリンをめぐり、各種サプリメントが注目される。中でもアセチルコリン合成に必須な栄養素だが、複数のフォームが市場に流通している。なかでもアルファGPC(L-α-グリセリルホスホリルコリン)は独自の性質で高く評価されている一方で、CDP-コリン(シチコリン)やコリン酒石酸水素塩との違いを見極めることも重要だ。

アルファGPC は体内に存在するリン脂質前駆体であり、優れた生体利用率が特徴。血液脳関門を効率的に通過し、脳内へ直接コリンを届け、迅速にアセチルコリン産生をサポートできる。記憶、集中力、学習力の向上が期待できるため、即効性のあるブーストが欲しい層に人気だ。またパフォーマンス向上を同時に狙うユーザーにも支持され、サプリメント選びの決め手になっている。

一方、CDP-コリンはコリン以外にシチジンを含む。シチジンはウリジンの前駆体であり、脳細胞膜の合成・修復に関わる。したがってアセチルコリン増加はもちろん、長期的な脳の健全性維持にも貢献すると考えられている。即効性よりも「セルフリペア」寄りの戦略に向くサプリメントといえる。

コリン酒石酸水素塩は、入手しやすく価格も抑えられたコリン供給源。しかし生体利用率はアルファGPCやCDP-コリンと比べて低く、摂取したうえで脳に届くまでに代謝を受ける割合が大きい。そのため認知特化型というより、アルファ的なコリン補給としての用途が中心となる。

まとめると、いずれもコリンを供給する点では共通するが、即効で認知・身体パフォーマンスを高めたいならアルファGPC長期的な脳の保全を重視するならCDP-コリン毎日の基本的なコリン摂取なら酒石酸水素塩、という選択軸が推奨される。目的に応じた使い分けで、より効果的な「脳ケア&パフォーマンス戦略」を設計してみてはどうだろうか。