約860億個のニューロンが網のように結ぶ人間の脳。その複雑なシステムを維持する鍵は、神経伝達物質の微妙なバランスにある。とりわけ学習と記憶に深く関わるアセチルコリンは、加齢やストレスで欠乏しやすい。そこで脚光を浴びているのが、ヨーロッパで抗認知症薬としても処方される「アルファGPC(通称:コリンアルフォスセレート)だ。

この化合物の最大の特徴は、血中から脳内へスムーズに移行する高い生体可用率にある。脳内ではコリンとグリセロ燐酸に分解され、コリンはアセチルコリンの材料として即座に利用される。そのため、アセチルコリン作動性神経回路が司る「記憶定着」「持続的注意」「処理速度」の改善に直結する。認知症予備軍の高齢者はもちろん、受験勉強やクリエイティブ業務に打ち込む若年層にも利用シーンが広がっている。

臨床試験では、軽度認知障害(MCI)の高齢者に12週間摂取させたところ、単語想起テストスコアがプラセボ群に対して約20%改善。また、成人学生を対象とした二重盲検試験では、試験勉強前の単回摂取で作業記憶容量が15%向上する結果が報告されている。高齢者の「物忘れ対策」に留まらず、「若年層の学習拡張用途」としても研究が進む背景にある。ただし、サプリメントはGMP認定施設で製造され、第三者機関で重金属・不純物検査をパスした製品を選ぶことが肝要となる。

さらに注目すべき点は、脳機能向上とともに「運動能力の補助効果」も示唆されていることである。成長ホルモン分泌を促進し、ニュロマッスル接合部の伝達効率を高める作用を持つため、トレーニング前のスタック素材としても人気が高い。アルカロイド系覚醒剤との併用や、オメガ-3脂肪酸、リン脂質セリンなどと併用した「Nスタック」では相乗効果が期待される反面、基礎疾患や服薬中の人は医師への相談を必須とし、個別最適化した摂取設計を心がけることが重要だ。