医療の質向上に挑む製剤学界が最も注力するのは、“いかに薬を正確かつ安全に届けるか” ことである。難溶性のAPI、不安定な有効成分、味による服薬拒否——。これらの課題を統合的に解決するキープレイヤーが登場した。環状オリゴ糖の一種「ベーターシクロデキストリン(β-CD、CAS登録番号7585-39-9)」。その分子包接能力に着目した製剤デザインが、治療効果と患者エクスペリエンスの刷新を加速させている。

β-CDの薬物送達における最大の強みは“包接錯体形成能力”だ。水に溶けにくい疎水性APIを筒状の内部空洞に取り込むことで、分子の親水性フィールドを劇的に変え、溶解性向上という第一関門を突破する。その結果、消化管や血中で薬物が速やかに分散し、生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)が格段に改善する。

さらに、酸素・湿気・光からAPIを守る機能も見過ごせない。β-CDの“分子ケージ”は薬効成分をしっかり囲み、保管中から体内輸送まで分解を抑制。錠剤・カプセルの品質保持期間を延ばし、高効率な薬物投与を実現する。

β-CDの適応応用は多岐にわたる。ナノ粒子・リポソーム・ゲル・埋め込み型デバイスなど多彩な用量形態に取り込めるため、持続放出や標的化送達の設計自由度が大きく広がる。鼻・眼など局所投与路線にも展開可能で、全身への副作用を抑えつつ局所効果を高められる。また、苦味を包むことで小児向け経口製剤の服薬コンプライアンスも改善。患者中心の製薬開発に一石を投じている。

用途領域は日々拡大し、難治性腫瘍、中枢神経疾患、アンチウイルスなど、次世代治療の実現に向けた実験が続々と報告されている。高い安全性プロファイルを背景に、β-CD主導の革新製剤は今後も薬物療法の常識を塗り替える存在となるだろう。

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