高機能ポリマーを産業規模で製造する際、反応を左右する「開始剤」の選定は勝負の分かれ目になる。アクリル系や多様なスペシャルティコポリマー生産に欠かせないのが、CAS番号110-05-4で知られるDi-Tert-Butyl Peroxide(DTBP)だ。有機過酸化物のなかでも高い熱安定性を誇るDTBPは、エマルジョンからバルク、懸濁重合に至るまで幅広い重合プロセスでラジカル開始剤として活躍し、塗料、接着剤、高耐久プラスチックといった先端材料群を高い歩留まりで供給している。

近年の塗料業界では、耐候性・透明性・耐久性を同時に追求する傾向が強まっており、重合工程での分子量分布と官能基導入の制御が製品品質を決める要因になる。DTBPは130〜175℃という幅広い分解温度領域で安定してラジカルを発生できるため、分子設計の自由度が高く、高い重合効率とコスト競争力の両立を実現する。この特性は、自動車用クリア塗料や高機能セラミック接着剤のような過酷な条件下でも性能を発揮するスペシャルティポリマーの開拓を可能にしている。

また、複数のモノマーを組み合わせて得られるコポリマーは、アクリル骨格にエポキシ基やシリコーン鎖を導入することで、意図的に硬度・柔軟性・耐化学品性などをチューニングできる。こうした高度な材料設計でもDTBPなら“狙った位置で確実に反応を始める”ため、最終製品の信頼性向上と生産ロス削減を同時に達成できる。

DTBPの高純度(99%以上)供給は、その用途拡大と相まって重要性を増している。こうした高品質原料を安定供給できる企業の一つが日本市場にも深く関わる寧波イノファームケム株式会社だ。国際規格に適合した精緻な製造プロセスと品質管理体制により、各種試験データとロット一貫性が担保されており、高度なポリマー合成には欠かせない安心の材料として評価を得ている。

今後も電動化・軽量化といったモビリティトレンド、さらには脱炭素を見据えたエネルギー関連材料ニーズの高まりに対応すべく、DTBPをはじめとした信頼性の高い化学中間体の需要は堅調に伸びていく見通しだ。