清潔ラベル志向と健康意識の高まりを受け、食品メーカーは合成添加物の代替として天然由来素材へと注力している。代表的なフェノール酸であるp-クマル酸(4-ヒドロキシ桂皮酸)は、抗酸化力と防腐性能を兼ね備えた“ダブルアクション”成分として注目を集めている。

【酸化劣化を抑制】
油脂や脂質を含む食品は、酸化を受けると臭気や味の劣化、栄養価の低下を招く。p-クマル酸は遊離ラジカルを捕捉し、BHAやBHTといった合成抗酸化剤の代替として加工肉、ベーカリー、清涼飲料水など幅広い製品で活用が進んでいる。

【微生物増殖をブロック】
さらに同化合物は、複数の腐敗菌・黴菌に対して抗菌活性も示す。人工防腐剤なしで保存期間を延ばす手法を可能にし、クリーンラベル化の加速に貢献している。

【機能性食品との相乗効果】
フルーツジュース、ヨーグルト、栄養バーなどへの配合は、酸化ストレス対策や抗炎症作用を訴求する機能性食品展開にも寄与。既存商品の栄養プロファイルを強化できる点が高く評価されている。

【肉製品・飲料への適用例が広がる】
特に熟成肉や低温殺菌飲料は、微生物増殖と酸化劣化のリスクが大きい。p-クマル酸は両方のリスクを天然由来成分で低減するため、消費者の安心感と味覚への訴求力を高める。

今後も天然素材移行は加速する見込みであり、p-クマル酸のように一つの化合物で複数の機能を果たすマルチパーパス成分の重要性は増す一方だ。