細胞の防御システムを担う「マスター抗酸化物質」グルタチオン(GSH)は、デトックスや免疫維持にも欠かせません。加齢やストレス、生活習慣の乱れで量が減少しがちですが、栄養を見直すだけでもしっかりサポートできます。ここでは、食事と補助栄養素の上手な組み合わせを中心に、体内合成を促す実践法を解説します。

まず意識すべきは「3つの必須アミノ酸」です。グルタチオンはシスチン・グルタミン酸・グリシンで構成されるため、これらをバランスよく含む食材を日常的に摂ることが基本になります。代表的なのは、加熱調理を最小限に抑えた肉・魚・卵・乳製品。プロテイン飲料の定番であるホエイプロテインはシスチンが豊富で、グルタチオン合成のボトルネックを効率的に突破する栄養源として注目されています。

次に、硫黄を多く含む野菜に目を向けましょう。ブロッコリーやカリフラワー、芽キャベツ、白菜といったアブラナ科野菜は、グルタチオン生合成に必須の硫化物を豊富に含みます。ニンニクや玉ねぎに代表されるニラ科野菜も同様に役立ちます。これらはグルタチオンそのものを直接供給するよりも、効率的に体内で合成するための補酵素や微量栄養素を届ける点で優位性があります。

また、ビタミンC、ビタミンE、セレンなどの「グルタチオンの相棒」となる抗酸化物質を同時に摂ると、相乗効果が得られます。ビタミンCは酸化型グルタチオンを再生し、セレンはグルタチオンペルオキシダーゼという酵素の構成要素となって、有害な過酸化物を中和します。

食事からの摂取が難しい場合は、サプリメント活用の選択肢もあります。ただし、経口摂取のグルタチオンは消化されやすく効率が低下するため、前駆体であるN-アセチルシスティン(NAC)や、リポソーム化された製品、さらには舌下タイプなど吸収性に工夫された製品を選ぶとよいでしょう。

サプリメントを検討する際は、必ず医療機関または登録栄養士に相談し、個人の健康状態や他の薬剤との相互作用を考慮することが大前提です。栄養バランスの整った食事に加え、必要に応じた科学的根拠に基づく補助栄養素を組み合わせることで、抗酸化・解毒・免疫の三つの機能を強化し、健やかな毎日を送る土台が作れます。