製紙業界は、紙質の向上、生産効率の改善、環境負荷の低減を同時に進める取り組みを加速させている。この課題に対し、Carboxymethyl Celluloseナトリウム(CMC)は多用途かつ高機能な添加剤として、抄紙の各工程で欠かせない役割を果たしている。

まず、CMCはサイジング剤として幅く活用される。紙に対する水やインクの浸透を防ぐことで、印刷適性を高め、スジ抜けやフサぎを抑える効果が得られる。結果的に、高品位な印刷用紙や包装用紙の製造に直結する。

さらにCMCは、紙の物理的強度にも大きく貢献する。湿潤時および乾燥時の引裂き強度の向上により、加工作業や最終用途での耐久性を確保できる。段ボールや各種特殊紙のように高い強度を要求される用途に効果を発揮する。併せてコーティング添加剤としても優れた性能を持ち、塗工紙の平滑性・光沢・不透明度を大幅に改善し、販売面での付加価値を高める。

CMCの高い成膜性と保水能力は、表面改良においても威力を発揮する。平滑で高密度な表面層を形成できるため、高解像印刷や特殊コーティングを施す際の精度が格段に向上。繊維や顔料を均一に結合させることで、外観品位と層間強度を両立する統合的な高品質紙へと仕上げるため、現代の製紙プロセス最適化に必須の素材となっている。