グルコース代謝におけるL-カルニチンの役割と、インスリン感受性の改善効果に注目が集まっている。2型糖尿病対策において、体内の糖と脂肪酸の使い方を変えることで、血糖値の安定化を手助けする可能性が示唆されている。

複数のRCTやメタアナリシスによると、L-カルニチン摂取で空腹時血糖値（FPG）の低下や、糖化ヘモグロビン（HbA1c）の改善が期待できるというデータがある。メカニズムは、肝・筋肉でインスリンシグナルを強化し、糖代謝に関わる遺伝子発現を調節する事が中心と考えられている。また、インスリンを分泌する膵β細胞の機能回復を促す点も最新研究で報告されており、将来的な個別化医療への応用が期待される。

一方で、糖尿病薬との相互作用や腎機能への影響を考慮し、摂取は医師・管理栄養士と相談のうえ慎重に行う必要がある。L-カルニチンは基本的に食事・運動療法と既存薬の「補完」として捉え、個々の背景により効果は異なる点を忘れてはならない。

2型糖尿病を抱える方は、まず主治医との対話を優先し、包括的な治療計画の一環として安全性を確保した上で、L-カルニチン補給を検討することが重要だ。