高血圧・高血糖・脂質異常・内臓脂肪型肥満の4因子が絡み合うメタボリックシンドロームと、その先に位置する2型糖尿病は、今やグローバルな健康リスクだ。そんな状況に注目が集まっているのが「イノシトール」だ。グルコース代謝にかかわる細胞シグナルの鍵を握る糖アルコールで、インスリン感受性を高めることで各種マーカーを改善する、期待の自然派サプリメントである。

すでにメタボ診断を受けている人にとって、「数値を戻す」ことが最大の関心事だ。最新の臨床研究によれば、イノシトールを継続摂取することで、数値の大幅な改善が期待できるという。たとえばトリグリセリドの減少、血圧低下、そして空腹時血糖値の安定だ。中には、再検査の結果、メタボ該当基準をクリアしなくなるケースも報告されており、そのインパクトの大きさがうかがえる。

さらに血糖コントロールへの関与は、糖尿病予備軍や既発症者にとって極めて重要である。イノシトールは「糖尿病治療薬」ではないが、インスリンの働きを助ける「補助役」として機能する。細胞のインスリン受容体を高めることで血糖スパイクを抑え、長期的には心血管合併症や神経障害予防にもつながる。

今後、イノシトールを生活習慣の一部に加えたい人は、摂取量を理解しておくとよい。血糖管理を目的とした研究では「2〜4 g／日」付近がよく用いられており、葉酸などのB群ビタミンと併用すると相乗効果が望めることが示唆されている。もちろん個人の病状や服薬状況に応じて医師・管理栄養士と相談することが前提だ。

まとめると、イノシトールは自然由来でありながら、インスリン感受性を高める作用でメタボリックシンドロームや2型糖尿病リスクの軽減をサポートする有望なサプリメントと言える。医療者と連携しながら、自分に合った摂取方法を見つけていきたい。