細胞を守り、解毒機能や免疫を担う「マスター抗酸化物質」グルタチオン。体内で作られるものの、年齢やストレス、環境要因で減少しがちだ。体内生産をサポートする食事や生活習慣を見直すことで、レベルを維持・向上させ、健康へのダメージを最小限に抑えることができる。

食事でグルタチオンを高める

グルタチオン合成に必要な「システイン」を豊富に含むのは、ブロッコリー、芽キャベツ、カリフラワー、ケール、ほうれん草などのクロス科野菜。玉ねぎやにんにくも硫黄化合物を多く含む代表的食材だ。毎日の献立にこれらの野菜を上手に組み込むだけで、原料となるアミノ酸を確実に補給できる。さらに、鶏ささみや白身魚などの良質なタンパク質も忘れずに。

微量ミネラルセレンは、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素を活性化させ、グルタチオンを効率的に使い回す役割を果たす。セレンを含むブラジルナッツ、アジ・サバなどの青魚、卵を週数回摂取する習慣をつくろう。ビタミンCとEもグルタチオンと相乗し、抗酸化ネットワークを強化する。果物・野菜・ナッツで自然に補うのが理想的だ。

生活習慣の見直しも必須

有酸素運動を週150分以上こなすと、抗酸化酵素を誘導し、グルタチオン値も上昇する。ただし過度なトレーニングは逆に消耗を招くため、回復を取り入れたバランスの取れた運動がポイントだ。

質の高い睡眠は最強のリペアタイム。深い睡眠中にグルタチオン合成が活発化し、疲労物質が分解される。1日7〜9時間の睡眠を確保し、就寝前のスマホ見逃しなどディープスリープを阻害する行動は控えたい。

慢性ストレスはグルタチオンを過剰消費する最大の敵。瞑想、ヨガ、深呼吸など日々のこころのメンテナンスを習慣化し、ストレスホルモンを下げることで貴重な抗酸化資源を温存できる。

環境トキシンの回避も効果大。農薬や大気汚染物質、重金属など外因性負荷を減らすことで、既存のグルタチオンを解毒以外の本来の役割に回せる。食品はオーガニックを取り入れ、屋内の換気をこまめに行うだけでも負荷は劇的に下がる。

サプリメントも選択肢の一つだが、摂取前には必ず医療専門家に相談し、個々の体質や薬との相互作用を確認しよう。日々の食事と生活習慣に上記の戦略を組み込むことで、自然とグルタチオン値が整い、長期的な健康維持に繋がるはずだ。