ファッション市場のサステナブル化が加速する中、素材メーカー各社は生産効率、品質向上、環境負荷削減を同時に達成する手法として、次世代化学素材への転換を急いでいる。従来の天然ガムやアルギン酸ソーダなどに依存したプリント増粘剤の問題は、品質ムラの大きさ、保管・輸送時の不安定性、そして水処理負荷。それらを一挙に解消する「Kr-712A 陰イオン分散増粘剤」が新たな選択肢として注目を集めている。


Kr-712Aはアクリル系多成分コポリマーの合成物質。希釈安定性に優れ、少量でも鮮明な輪郭と鮮やかな発色を叶えることから、アルギン酸ソーダの代替素材としての実績を急速に拡大中だ。特に合成繊維や機能性生地では、従来品では得られなかった高彩度・高耐久プリントを可能にしている。


特筆すべきは環境面での配慮。同製剤はホルムアルデヒドフリーかつAPEO/NPEO未含有で、排水規制が年々厳しさを増す日本市場でも安心して導入できる。また、高濃度タイプなため使用量を抑えられることから、ユニットコストは下がり、原料在庫スペースも削減できるコストメリットも大きい。


現場では、配合工程も簡素化される。従来の粉体扱いや長時間攪拌を不要にし、パスチュ調整時間を半減させる生産効率の向上も実証済み。安定したレオロジー特性により作業プロセスの歩留まりが改善され、廃棄ロスの低減にも直結する。新たな「ケミカル選択」は、たんに材料を付け替えるレベルにとどまらず、サステナブルかつ収益性の高い新しい生産プロセスそのものへの転換といえる。テキスタイルプリンター工場やアパレル企業が、次世代プリント工法へ踏み出す際の切り札としてKr-712Aは今まさに本命候補だ。