睡眠誘導ペプチド(DSIP)の多面的な機能が次々と明らかになっている。最近の研究により、DSIPが抗酸化作用や抗腫瘍(抗がん)作用を有する可能性が示されている。これは、DSIPが従来知られていた睡眠促進作用だけに留まらず、疾病予防や健康増進といった新たな応用分野への期待を高めている。

複数の研究チームが、DSIPが細胞を活性酸素から守る抗酸化能を有することを報告。実験モデルでは、カタラーゼやSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)などの主要抗酸化酵素の発現が上昇しており、酸化ストレスを増幅させる加齢や慢性疾患への防御策としての可能性が示唆される。この背景を受けて「DSIP研究最前線」と銘打った学術セッションも国内外で開催されている。

さらなる興味深いデータとして、動物実験でDSIP投与群では自発腫瘍の発生率が有意に低下するという予備報告が複数寄せられている。メカニズムはいまだ解明途上だが、異常増殖した細胞を制御・除去する免疫監視メカニズムの活性化が関与していると推測される。世界がん研究機関(IARC)をはじめ、エビデンス確保に向けた大規模前向き研究の計画も始動している。

こうした細胞レベルでの保護効果に加え、DSIPは従来から知られている神経調整作用も併せ持つ。「三大防御網」となる睡眠・ストレス軽減・抗酸化を一本化するかのごときDSIPの有効性は、今後の補完・代替医療(CAM)や予防医療の主力候補として注目されている。

睡眠改善と抗酸化防御、そして抗がん予防を一本化する万能ペプチドの実現に向け、今後の臨床研究拡充が不可欠だ。学術界・企業・規制当局の三つ巴で進む実用化ロードマップは、疾病予防という社会課題解決のカギとして世界中で期待されている。