微生物株を最適化し、L-2-アミノ酪酸の効率的合成を実現——寧波イノファームケムが戦略発表
医薬品製造の要となる中間体であるL-2-アミノ酪酸(L-ABA)の合成には、細胞内の代謝フローを精密に制御する技術が欠かせない。寧波イノファームケム株式会社は、この分野で微生物株の革新的最適化に取り組み、ブドウ糖などの再生可能な糖資源からL-ABAを高効率に生産する「細胞工場構築」に成功した。同社は、従来の化学合成に比べ環境負荷を削減しつつ大幅なコスト削減を可能にする、持続可能なプロセスの確立を目指している。
技術の中核をなすのは、Escherichia coliなどのホスト微生物に対する精密な遺伝子改変だ。まずL-スレオニンから2-ケト酪酸(2-KB)への変換を触媒するスレオニン脱水素酵素コード遺伝子ilvAの発現量を増強し、続いてL-leucine dehydrogenase(leuDH)を高発現させることで2-KBからL-ABAへと的確に流す。ここでは各酵素の働きを連動させ、不要な分岐経路による損失を最小限に抑えることがカギとなる。
さらに、副次的な消耗経路を封鎖する戦略も実施した。ilvIH遺伝子等を欠失させることでL-イレオニン合成経路をブロックし、2-KBをL-ABA合成へと確実に向ける。さらにL-スレオニン輸出を担うrhtA遺伝子を不活化させ、細胞内の前駆体濃度を高め、収率の向上を実現している。
上記の酵素量調節には、異なる強度のプロモーターを駆使した緻密な遺伝子発現制御を採用。たとえばilvA*やleuDHの発現量を段階的にチューニングすることで、ボトルネックや中間体蓄積を回避し、システム全体を常に最高の生産性で稼働させている。
こうして開発した高効率株を連続補給培養により評価した結果、L-ABAの高トン数生産が確認され、同社が掲げる持続可能な医薬品バルク生産プロセスの実現が一歩前進した。寧波イノファームケムによる本取り組みは、バイオベース化学製造業の更なる発展と、医薬品原料の安定供給体制構築に大きな意義を持つ。
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