毎日の生活環境に晒される現代人の体内では、活性酸素の暴走が「老化スイッチ」を押しかねません。そんな中、N-アセチルL-システイン（NAC）が、細胞一つひとつの「マスター抗酸化物質」であるグルタチオンの産生を後押しする注目の素材として脚光を浴びています。

グルタチオンは各臓器でつくられる三つのタンパク質（グルタミン酸・システイン・グリシン）から成る最強のアンチオキシダントですが、ストレスや加齢で減少しがち。その欠乏が慢性炎症や生活習慣病のリスクを高めることは免疫学の常識となっています。ここで重要なのが、システインを効率的に補給できるNACの存在です。単なるシステインと比べ、より高い安定性と吸収率を誇るNACは、細胞内グルタチオンの再充電に優れた戦略的サプリメントと言えるでしょう。

その恩恵は免疫機能向上に一層表れます。NACを継続摂取することで、NK細胞やT細胞などが酸化ストレスから守られ、炎症を沈めながら病原体への応答速度が速まるとの報告が相次いでいます。また、肝臓と腎臓のデトックスラインにおいて、グルタチオンは重金属や化学物質を中和・排泄するフェーズⅡ酵素の足場となるため、NACは「内臓の掃除道具」として多くのクリニックで活用されている実情もあります。

さらに興味深いのが、NACの呼吸器系サポート効果です。粘りの強い痰を薄め、気道へ滞留する時間を短縮する粘液溶解作用により、喘息やCOPDを抱える方の日常会話や運動時の息切れ感が改善するという声が寄せられています。

NACを生活に取り入れる際のポイントは“質と継続性”です。粉末タイプをオンラインで購入し、朝スムージーに溶かして摂るなど、飲み方のバリエーションを増やすことで長続きしやすくなります。定められた摂取量を遵守し、既存疾患や薬剤服用の有無を医療専門家へ報告することが安全面での鉄則です。今後も研究が進むことで、抗酸化×デトックス×免疫という三重の効果を持つNACのポテンシャルはさらに広がっていくはずです。