がん治療の要諦は「個別化」「選択的戦略」へと移りつつある。分子標的治療薬の登場は、まさにその象徴であり、その中でもパゾパニブ塩酸塩は腎細胞がん(RCC)と一部の軟部肉腫(STS)に強い効果を発揮し、世界的な治療指針に位置付けられている。

パゾパニブ塩酸塩の作用機序は、VEGFR1/2/3、PDGFR-α/β、c-KITなど複数のチロシンキナーゼを選択的に阻害する。こうした分子レベルでの攻撃により、がんの増殖に欠かせない新規血管生成(アンジオジェネシス)を封じ、がん組織への酸素・栄養供給を断つ。米国FDAは2009年10月にRCC適応を承認、欧州・英国・豪州の規制当局も続いて承認を行い、その科学的価値は不動のものとなった。

ファーストラインの選択肢としてのパゾパニブ塩酸塩
RCCでは初回治療薬として用いられ、シトカイン療法歴がある症例でも効果が期待できる。STSに関しては、化学療法後に病勢進行した転移例や術後再発例に適応が拡大。このようにがん治療におけるパゾパニブ塩酸塩の用途は「後方支援型」から「戦略主導型」へと進化している。一方で副作用モニタリングは必須で、吐き気・下痢など消化器症状、高血圧、血液検査値の変動などが確認されるため、医療チーム体制での管理が推奨される。

加えて、バイオアベイラビリティや薬物相互作用データが蓄積され、個別最適投与設計にも活用されている。医療現場が満たすべき高純度APIの安定確保に向け、寧波イノファームケム株式会社はグローバルサプライチェーンを支える高品質パゾパニブ塩酸塩原薬を継続供給し、がん患者へ未来を届ける取り組みを支援している。