難治性の疾患に立ち向かうために、細胞生物学と治療戦略の深化が急務となっています。その中で、研究コードSS-31としても知られるエラミプレチドは、細胞のエネルギー工場ともいわれるミトコンドリアを直接標的にする小さなペプチドとして、新たな治療選択肢として期待されています。

ミトコンドリアが機能不全を起こすと、エネルギー生産の低下だけでなく、酸化ストレスや炎症を引き起こし、慢性疾患の進行を加速させることが報告されています。エラミプレチドは細胞膜・ミトコンドリア内膜を効率的に通過し、内膜に存在するカルジオリピンというリン脂質に選択的に結合します。この相互作用により、細胞内でATPを産生する電子伝達系の構造が安定化され、エネルギー生産効率が回復します。

加えて、エラミプレチドは強力な抗酸化作用を発揮し、ミトコンドリア由来の活性酸素（ROS）を大幅に減少させることが示されています。つまり、細胞の「エンジン性能」を向上させつつ、同時に「排ガスによる汚染」に対処する相乗効果で、ミトコンドリア障害をめぐる幅広い病態に働きかける点が大きな特徴です。

神経保護分野でも、同薬の可能性は注目を集めています。アルツハイマー病やパーキンソン病では神経細胞のミトコンドリア機能不全と酸化ストレスが深く関与しており、エラミプレチドは血液脳関門を通過して中枢神経系内で直接作用できるため、これらの難病への効果が期待されています。

カルジオリピンは、ミトコンドリア複合体I～IVといった呼吸鎖酵素の正常な働きを保つうえで欠かせないリン脂質ですが、酸化や損傷を受けると電子伝達系が乱れ、過剰なROSが発生し、最終的には細胞死へと進展します。エラミプレチドはカルジオリピンと高度に特異的な結合を形成することで膜の安定化を図り、悪循環を断ち切るという精密な分子標的療法を実現しています。

開発は基礎研究の段階に止まらず、原発性ミトコンドリアミオパチーや一部心血管疾患を対象とした臨床試験で進められています。その結果、ミトコンドリア機能の回復が症状改善に結びつく兆しが見られ、実臨床での応用に向けた期待が高まっています。

高品質な試験材料の安定供給が研究加速に不可欠であることから、寧波イノファームケム株式会社はエラミプレチドなど先端ペプチド化合物の提供に力を入れています。研究者の方々が次のブレークスルーを生み出すための信頼できるパートナーとして、質と納期に徹底的にこだわり続けます。