愛する家族である犬の病気と闘うとき、飼い主が求める情報は明確で信頼できるものであるはずです。クッシング症候群（副腎皮質機能亢進症）の治療で最も使われるトリロスタンについて、よく寄せられる6つの質問をQ&A形式でコンパクトにまとめました。これを読めば、治療計画に対する不安は確実に軽くなります。

Q1：トリロスタンの適正用量はどうやって決まる？

A：体重やクッシング症の重症度、個体の反応などを獣医師が総合的に判断します。トリロスタン用量は「1回○mg」という単純なものではなく、投与開始後10～14日後にACTH刺激試験で再評価し、きめ細かく調整していきます。自己判断での増減は絶対禁止です。

Q2：投与はどうすればよい？

A：カプセルを毎日同じ時間に、食事中または直後に口から与えるのが基本です。満腹時に与えることでトラブルの元となる胃腸症状も最小限に抑えられます。万が一飲ませ忘れても、次の時間に倍量を与えるのではなく、獣医師の指示に従ってください。

Q3：副作用はある？

A：導入初期に見られるのは「ちょっと元気がない」「ご飯が残る」程度。数日で落ち着くことがほとんどです。ただし、突然筋力が落ちたり、意識がもうろうとしたり、血便が出た場合はアジソニア危機を疑い、直ちに病院に連絡してください。

Q4：どれくらいの頻度で経過観察が必要？

A：初期は用量調整ごとにACTH刺激試験を実施し、状態が安定すれば1～3か月に1回の定期検査に段階的に移行します。検査結果をもとに“最適な用量ゾーン”を保ち、肝機能など全身状態もチェックします。

Q5：錠剤を飲ませにくい子にはコンパウンド（調剤）でも有効？

A：液体や小型カプセルに変更できるため、飲み込みが苦手な子にも選択肢が増えます。調剤薬局の技術力や安定性に差が出るため、必ず信頼できる施設を獣医師と相談してください。

Q6：他の治療法はない？

A：ミトタンという古くからの薬や、副腎腫瘍摘出手術（適応例が限られる）が存在しますが、投薬管理がしやすく効果も高いため、トリロスタンが第一選択になることが多いです。個体の状態を踏まえたオーダーメイド治療を検討しましょう。

獣医師との対話、検査データに基づく綿密なフォロー——トリロスタン治療の成功は、飼い主の理解と協力で決まります。また不明な点はかかりつけ医院に遠慮なく相談してください。