東京 – 工業用の水処理や医薬で知られるフォスフォネートだが、農薬分野でも注目が急速に高まっている。植物の生育をコントロールし、栄養供給システムの要として作物の健康収量を左右する威力を持つという。

農薬用途で最も名高いのは除草剤グリホサート――その本体もフォスフォネート誘導体に他ならない。植物に不可欠な酵素を阻害する力が雑草を枯らすメカニズムだ。しかしフォスフォネートの可能性は除草だけにとどまらない。リン酸を素早く吸収できる形で供給する肥料化や、作物自身の防御反応を活性化する生育調整剤としての効果も報告されている。

代表的な例は微量要素の取り込み効率を高めるキレート効果。鉄や亜鉛などが土壌で不溶化するのを防ぎ、ストレス環境下でも健全な生育を維持する。これが干ばたや病害への耐性強化につながり、収量の安定に貢献する。

さらに、根の発達を促すバイオスティミュラント効果を持つ新たな誘導体の研究も進む。持続可能かつ高効率な農業を目指す潮流の中、フォスフォネートは作物保護・増収の両面で欠かせない存在へと成長しつつある。