自然界は、多様な産業に貢献する機能性化合物の宝庫である。中国原産の多年草「Maclɛaya cordata(馬告)」を原料とした植物エキスもその一例で、家畜の健康維持からスキンケア製品への活用まで、幅広い可能性を秘めている。

まず畜産分野では、天然飼料添加物として脚光を浴びている。サンギナリン、ケルエリスリンといったアルカロイド類が豊富に含まれ、抗菌・抗炎症作用に優れるため、抗生物質型成長促進剤の天然代替として期待されている。実際、豚や鶏への給与実績では成育成績の向上、飼料効率の改善、腸内環境の正常化が確認されており、高い生産性と動物福祉の両立につながっている。

次に化粧品産業への展開も進んでいる。抗菌活性を活かした天然防腐剤として、防腐効果の確保と合成保存料の削減を両立できると注目を集める。また、初期研究では皺を軽減し肌の弾力を高める抗老化作用や、炎症を抑えるソーシング効果も示唆されており、敏感肌向け製品への応用が期待される。

馬告エキスが畜産とスキンケアという対極の領域に同時に活用できることは、多様な機能性が一つの植物成分に凝縮された証といえる。持続可能な畜産実現や、安全かつ多機能な化粧品開発への貢献は確実で、今後の研究により新たな価値が次々と開花していくだろう。